新緑の季節も過ぎ、そろそろ梅雨の足音が聞こえてくる5月下旬。
この季節になると山椒の実が生鮮食品売り場などに並び始めます。
山椒は日本で古くから親しまれてきた植物です。
食用、薬用、加工品など多くの用途があり、食材としては葉山椒、花山椒、実山椒など、ほとんど捨てるところがありません。
特に山椒の実は小粒で美しいその姿と、食べると痺れるような独特の辛みが人気ですね。
この熟す前の青々とした山椒の実を塩漬けにした「青実山椒」は、少量で料理を引き立ててくれる名脇役として様々な場面で重宝します。
あると便利な山椒の実の塩漬け。
作り方は人それぞれに微妙に異なりますが、基本的には茹でて塩に漬け込むだけです。
料理の苦手な人でも少しの手間で簡単に作ることのできるレシピを紹介します。
材料(約250g分)

今回の山椒の実の使用量は250gとしています。
大鍋でどっさり作っても良いのですが、200~300gあたりが家庭で作りやすい量でしょう。
山椒の実(枝付きのもの)・・・・・約250g
塩(海塩)・・・・・・・・・・・・40~60g
材料はシンプルに山椒の実と塩だけです。
以前は山里の特産品として手に入りにくいイメージのあった山椒の実ですが、近年ではシーズンになるとスーパーなどで新鮮なものが簡単に手に入るようになりました。
山椒の実は黒く変色していない新鮮な枝付きのものを選びましょう。
塩は色々とこだわりたいところですが、原材料が海水のみのモノが好ましいです。
保存用の瓶は煮沸消毒しておきます。
作り方
下準備に少々根気を要しますが、茹でて塩で漬けるだけというシンプルな作り方です。
まずは山椒の実を枝から取り外していきます。

地味で根気のいる作業ですが、枝が残っていると食感が良くないので、けっこう重要な作業となります。
ここでは硬く大きな枝をザックリ取り除けば大丈夫です。
細かい部分が気になる場合、茹でて軟らかくなってから取り除きます。
取り外した実は水にさらし、流水でよく洗ってザルに通して水を切ります。
けっこう細かいゴミなどが多いためです。
鍋に山椒の実全体が浸かる量の水を入れ火にかけます。
沸騰したら山椒の実を入れて強火で約5分茹でます。

山椒はミカン科の植物なので、茹でると部屋中が柑橘系の爽やかな香りで一杯になりますね。
茹で上がったらザルでお湯を切ります。
指で実がつぶれるくらいの軟らかさが丁度良い茹で加減です。
茹で上がった山椒の実をボウルなどに移し、全体が浸かる量の水を入れアク抜きをします。

アク抜きの時間は1時間くらいが目安となります。
アク抜きが終わったあと1、2粒食べてみましょう。
えぐみが強い場合はもう少し水に浸してさらにアクを抜きをしてください。
アク抜きの時間によって味が変わってきます。
痺れや辛さが苦手な人はアク抜き時間を長くします。
反対に刺激の強い味が好みであれば、アク抜きは30分くらいでも良いでしょう。
好みの辛さになったらザルで水をしっかり切ってアク抜き作業は終了です。
水を切った山椒の実をさらにキッチンペーパーなどで少しづつふいていきます。

この作業も時間のかかる地味な工程ですが、丁寧に水気をとりましょう。
水気が残っているとカビなどが発生しやすくなり、保存性が落ちる原因となります。

漬け込みの前に容器の瓶などは煮沸消毒し、瓶の中の水気はしっかりふきとっておきましょう、
山椒の実と塩を少しづつ層になるように交互に詰めていきます。
塩は実の量に対して20%前後が目安ですが、塩分が少ないとカビの原因にもなりますので、やや多めの使用量で漬け込むのが良いでしょう。
詰め終わったら瓶に蓋をして、塩が全体に行きわたるよう上下左右によく振ります。
数日は常温で保存し、日に数回振って馴染ませます。
塩が溶けて実に馴染んだら完成です。

YouTubeチャンネルの動画もご参照ください
【山椒の実の塩漬け】の使い方


完成した山椒の実の塩漬けは、蓋がしっかりと密閉されていれば常温でも1年間は保存ができます。
開封後も冷蔵庫で2、3週間は保存が効き、冷凍すればかなりの長期間保存が可能ですが、風味のこともあるのでなるべく早く食べきりましょう。
用途は様々です。
アツアツのご飯にかけて食べれば抜群のご飯の友となるでしょう。
煮物や焼き物などの各種料理の薬味として重宝します。
醤油で煮詰めれば佃煮としても楽しめますね。
塩分が強いと感じる場合には30分くらい水に浸して塩抜きしてから使用しましょう。
長期間の保存が効き、少量で様々な料理を引き立ててくれる便利な一品です。
是非作ってみてくださいね。