各種店舗や料理屋さんなどでよく聞く「京野菜」という言葉。
同じ野菜でも「京」の一字がつくだけで一気にブランド品となる野菜ですが、一体どういう野菜たちなのでしょうか。
京野菜の定義とは何か。
どんな野菜なのか。
どこで買えるのか。
奥深い京野菜について深堀りしてみましょう。
京野菜の定義とは何?

実は「京野菜」についての具体的な定義は無いと言われています。
京都府内でとれた野菜はすべて「京野菜」と呼ばれているということですね。
JA京都においても、管内で生産された野菜全てを「京野菜」として位置づけています。
その定義でいくと、例えば沖縄のイメージが強いゴーヤなども京都で栽培すれば「京野菜」となってしまうのでしょうか。
やはりそこには京都の伝統的な野菜といういくつかのきまりがありました。
京の伝統野菜とは?

京の伝統野菜の条件にはおよそ以下のような定義がありました。
- 導入に明治以前の歴史があること
- 対象は京都市内に限らず府内全域とする
- 「たけのこ」を含む
- キノコ類やシダ類(ぜんまい、わらび等)は除く
- 栽培や保存されているものだけでなく絶滅した品目も含む
現代の野菜は昔に比べて随分と食べやすいモノになってきた印象があります。
これは一般に流通させるため、品種改良が進んだ結果と言えるでしょう。
多くの人々に抵抗なく食べられるように、企業努力によって味や形が最適化されてきたということでしょう。
これに対し「京野菜」は古くからの野菜の持つ特性を残しています。
野菜個別の風味が強かったり、栽培が難しいものがあったりと様々な特徴があります。
品種によって適した栽培地域が変わるので、地域性が高い野菜といえるでしょう。
京野菜はどこで買えるのか
京野菜はどこで手に入れることができるのでしょうか。
京都の地域ブランド産品なので、京都市内外の様々な場所に取り扱い場所があります。
地域の農産物直売所
京都に限らず国内には農家さんや各団体などが主催する農産物直売所が数多くあります。
当然ながら、京都ではその農産物が京野菜ということになりますね。
農家の庭先や畑のそば、自動販売機など、営業形態は様々です。
朝市やマルシェなど、定期的に開催される規模の大きなものもあります。
地元でとれた旬の野菜が新鮮、リーズナブルな価格で手に入る貴重な場所ですね。
青果店やマーケット
一度に多くの京野菜を扱う場所として欠かせないのが青果店やマーケットになるでしょうか。
いくつか例をあげると下記の通りです。
●じねんと市場
京都市伏見区にある大規模農産物直売所です。
隣接する「じねんと食堂」や「力の湯」など、一日楽しめるスポットです。
●桂川街道産直ひろば
京都市西京区桂にある京都市内最大級の農産物直売所です。
毎日地元の人々でにぎわっています。
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●京都八百一本館
京都市中京区にある総合商業施設です。
様々な店舗が集まりスタイリッシュです。
デパート・大型スーパー
大きなデパートやスーパーの青果売り場にも京野菜を取り扱うところは少なくありません。
- 髙島屋京都店
- 大丸京都店
- イオンスタイル京都五条
- 京都ファミリー
- ライフ北白川店
などなど、各地に取り扱い店舗が入っています。
道の駅
道の駅の産直コーナーも忘れてはいけません。
中でも人気の丹波エリアを見てみましょう。
●道の駅 瑞穂の里・さらびき
京丹波町の総合運動公園「グリーンランドみずほ」の一角にある道の駅です。
京丹波の特産品が揃っています。
●道の駅 京丹波味夢の里
丹波の古民家をモチーフにした京丹波マルシェには農産物や特産品が数多く並びます。
イベントなども開かれる大きな道の駅です。
このように多くの場所で京野菜を購入することができるのですが、それぞれに旬がありますので、在庫状況などは事前にチェックがオススメです。
京野菜の代表選手24品種を紹介!
地域性の高い「京野菜」の数々。
どのような野菜たちがいるのでしょうか。
代表格の24品種を見ていきましょう。
京みず菜

やわらかいのにシャキシャキの食感が楽しめる「京みず菜」。
葉に深い切れ込みがあるのが特徴で、緑色の中に細く白い柄が入る美しい野菜です。
このため、京都のみず菜は「千筋京みず菜」と言われてきました。
かつて一株で4~5kgもある大きなものが多かった京みず菜ですが、最近では小さい株のうちに早取りされた小袋ものが人気のようです。
「雍州府誌」という江戸時代の書物に東寺や九条周辺で栽培されていた記録があります。
おそらくは江戸時代以前の古くから、京都を中心に広く栽培されていたと考えられています。
鍋ものやサラダなどには欠かせない京野菜の代表格ですね。
京壬生菜

江戸時代後半の1800年代ころ、みず菜の自然交雑で生まれたと言われているのが「京壬生菜」です。
壬生というのは現在の京都市中京区で、新選組で有名な壬生寺などで知られる地域ですね。
特徴は細長くヘラのような形をした葉っぱでしょう。
こちらもみず菜と同様に元々は大株でしたが、小株での流通が多くなっています。
味や香りにほんのり辛子の香りがあり、煮物や和え物、サラダなど様々な用途があります。
また、京都の漬物の代表格である「千枚漬け」に添えられています。
ビタミンCや食物繊維が豊富な人気野菜ですね。
九条ねぎ

京野菜としての知名度ではトップクラス。
全国的にも有名なのが「九条ねぎ」でしょう。
九条ねぎの栽培の歴史はかなり古いと言われています。
江戸時代に現在の京都市南区九条付近で特に品質の良いものが栽培されていたことが名前の由来だそうです。
白ねぎと違い緑色の葉に多くのカロテンやビタミン類を含んでいます。
葉の内側のぬめりが甘味と柔らかさの秘密だということで、風邪の妙薬として珍重されてきました。
鍋もの、すきやき、ぬた和えなど、多くのシーンで登場する人気京野菜ですね。
伏見とうがらし

みず菜のところでも出てきた書物「雍州府志」に「山城の国、伏見辺りで作られたものが有名」という記載が残っています。
古くから伏見付近を中心に栽培されてきた「伏見とうがらし」。
特徴はその細さでしょう。
別名「ひもとう」と呼ばれ、とうがらし類の中では最も細長い品種として知られています。
20cmを越える物もあるというから驚きですね。
焼き物、炒め物、煮物などあらゆる用途がある人気野菜です。
実だけでなく、その葉っぱは「きごしょう」という佃煮として食べられていました。
食物繊維、カルシウム、ビタミンCなど豊富な栄養素が詰まっています。
夏バテ解消にいかがでしょうか。
万願寺とうがらし

近年居酒屋や料理屋などのメニューで見かけることの多い「万願寺とうがらし」。
特徴的な名前とその大きさで、とうがらしの王様と呼ばれることもある人気者ですね。
「とうがらし」なのに軟らかい果肉と甘味が特徴であり、種も少なく食べやすいのが人気の秘密でしょうか。
特に高品質なものは「万願寺甘とう」と呼ばれ、ブランド野菜として知られています。
この人気者「万願寺とうがらし」ですが、京都での歴史はそんなに古くないというのが意外なところです。
生まれは大正から昭和初期の京都府舞鶴市と言われています。
伏見とうがらしと他の古いアジア系品種などとの自然交雑から生まれたというのが有力な説だとか。
気になる名前の「万願寺」ですが、栽培地であった舞鶴市中筋地域にある万願寺地区に由来すると言われています。
焼いても煮ても美味しい万願寺ですが、ごくたまにとんでもなく辛いものもありますね。
そこがまた魅力的なのですが。
賀茂なす

日本には有名なナスの品種がいくつかありますね。
千両2号、庄屋大長、泉州水なす、山形梵天丸、肥後紫など地域ブランドも多いです。
その中で何と言っても知名度が高いのが「賀茂なす」ではないでしょうか。
非常に大きな丸型で色は鮮やかな紫ですが、がくの下は真っ白。
ずっしりと重く、果肉はしっとり。
油を吸いすぎないため加熱調理に適していますね。
様々な料理に使われますが、柴漬けや田楽によく使われています。
賀茂なす発祥地については、伏見鳥羽芹川、左京区吉田、上賀茂や西賀茂などいくつかの説があります。
現在の賀茂なすという名称は、明治時代に栽培が盛んだった京都市北区の上賀茂や西賀茂に由来します。
平安時代あたりから栽培の歴史があるという賀茂なす。
なすの女王と呼ばれるのもうなずけますね。
京山科なす

賀茂なすが有名すぎるのか、流通が少ないのか、現在では聞き馴染みのない品種ですが抜群の味と柔らかさが楽しめるのが「京山科なす」でしょう。
京都市の東部山科(やましな)を中心に栽培されているのが名前の由来。
昭和初期までは京都のなすといえば「山科なす」が主流でした。
収穫量の少なさが原因で、残念ながら他の品種にその座を奪われてしまいました。
形はふっくらとした卵型。
特徴は水分の多い緻密な果肉でしょう。
皮が非常に薄いため、取り扱いには注意が必要ですね。
それだけに煮物、焼き物、漬物、すべてにおいて最高の味わいを得られるといわれる品種です。
鹿ケ谷かぼちゃ

京野菜の中でも存在感トップクラスなのがこの「鹿ケ谷かぼちゃ」でしょう。
中央がくびれたひょうたん型で、縦に入った筋にゴツゴツとしたこぶが特徴的です。
色は一般的なかぼちゃのような濃い緑色が、熟すにつれてオレンジ色に変化していきます。
一個当たりの重量が2~3キロというからかなり大型のかぼちゃですね。
果肉は水分が多くねっとりとしています。
見た目に反してあっさりとした淡白な味わいです。
出汁をよく吸収しますが煮崩れしにくく、煮物に適している品種ですね。
煮つけや天ぷら、そぼろあんかけ、グラタンやスープなどの料理でよく使われる食材といえますね。
起源は1800年代初期(江戸時代文化年間)。
元は津軽あたりから持ち帰られた菊かぼちゃが鹿ケ谷地域で栽培されるうち、突然変異して現在の姿になったと言われています。
鹿ケ谷は京都市左京区の山間の地域で、明治時代には京都で食べられるかぼちゃのほとんどがこの「鹿ケ谷かぼちゃ」だったようです。
しかし現在ではこのかぼちゃが鹿ケ谷あたりで栽培されることはなく、生産地の中心は京都府中部の南丹市や綾部市となっています。
風光明媚な観光地としてファンも多い鹿ケ谷エリアですが、代表的な寺院として知られているのが「安楽寺」でしょう。
ここで行われるのが300年前から続く伝統行事「かぼちゃ供養」。
中風除けのご利益が得られる行事として有名ですが、鹿ケ谷かぼちゃは栄養価も高く、リノレン酸含有量は通常のかぼちゃの6~7倍もあると言われています。
古来から鹿ケ谷かぼちゃの効能をよく知っていた先人の知恵に脱帽です。
京夏ずきん

「京夏ずきん」とは、丹波黒大豆から生まれた「えだまめ」です。
その名のとおり、夏限定のえだまめとして売り出されています。
大粒でコクと甘味が強く、モチモチとした食感がたまりません。
一般的な黒大豆の3倍の大きさを誇る丹波黒大豆。
お正月の黒豆として珍重される品種ですが、誰もが知る高級食材ですね。
「丹波の黒豆」で知られる丹波地方と言えば、現在の兵庫県を思い起こす人が多いでしょう。
この「京夏ずきん」は丹波黒大豆を原料として、丹波地方の伝統的えだまめ栽培技術を活かし取り込み開発されました。
「京のブランド産品」として認証され、京都の特産品としての地位を確立しています。
紫ずきん

「紫ずきん」も黒豆の王様「丹波黒大豆」から生まれた「えだまめ」専用品種です。
前述の「京夏ずきん」はこの「紫ずきん」の早生品種にあたります。
「紫ずきん」は秋のえだまめということですね。
名前の由来は、豆の薄皮が薄紫色であることや、豆の形が頭巾のようであることからきています。
特徴は同じく大粒で強いコクと甘味、モチモチ食感でしょう。
丹波地方の農家の間では、「祭りのえだまめ」として親しまれてきました。
こちらも京のブランド産品として認証されています。
京こかぶ

「かぶ」の仲間は最も古い歴史を持つ野菜と言われています。
この「京こかぶ」は、京都市右京区京北地域で約40年前から栽培が始まった比較的新しい野菜といえるでしょう。
京のブランド産品に認定されたのは平成19年。
「京こかぶ」は名前のとおり小ぶりで丸ごと使えるサイズ感です。
京都の風土に合わせて栽培されてきたその特徴は、真っ白な肌と美しい形。
味の特徴はきめ細やかな肉質に繊細な甘味。
上品なその姿は、漬物やかぶら蒸しなどの京料理に欠かせません。
あらゆる調理の他、生食など手軽に幅広く利用でき、実から葉まで余すところなくいただけるオールラウンダーな野菜です。
えびいも

こちらも京野菜としてかなりの知名度を誇るものの一つでしょう。
里芋の一種ですが、皮に縞があり曲がった形が大きなエビを連想させます。
これが「えびいも」の名前の由来と言われています。
味の特徴はねっとりとした食感と豊かなうま味です。
煮込んでも煮崩れしにくいので、煮物に最適な食材ですね。
えびいもを棒だらと一緒に煮た「いもぼう」は、古くからの代表的な京都のおばんざいです。
この「いもぼう」発祥として有名な「平野屋」の祖先である平野権太夫こそ、えびいもの生みの親だといわれています。
青蓮院宮が長崎から持ち帰った里芋の種を丁寧に育てているうちに生まれたのが現在に続く「えびいも」です。
えびいもは里芋の一種ですが、品種ではなく栽培方法の違いで生まれるものなのだとか。
土入れや磨きなど特殊な技術が必要とされ、栽培には大変な手間がかかると言われます。
なるほど高級食材である理由がよくわかりますね。
堀川ごぼう

京野菜の中でもインパクト最大級なのがこの「堀川ごぼう」ではないでしょうか。
とにかく驚くのはその太さでしょうか。
通常のごぼうよりも太く短く、先端はたこ足のように根が広がります。
外観は褐色で亀裂もあり、まるで松の根っこですね。
繊維バシバシで相当な硬さなのではと思いがちですが、実際には繊維はやわらかく、内部に空洞があるため味が芯まで沁みわたる絶品野菜です。
肉質がやわらかいので煮物に適し、空洞を利用しての肉詰めなども有名ですね。
根っこはおでんやきんぴらによく使われています。
栄養価の高い堀川ごぼうですが、何と言っても豊富な食物繊維がうれしいですね。
堀川ごぼうがユニークなのはそのルーツでしょう。
京都を治めた豊臣秀吉が洛中に築いた「聚楽第(じゅらくだい)」。
豊臣氏が滅亡した後に、その堀に周辺住民が野菜の屑などを捨て、それが堆肥となって一緒に捨てられていたごぼうがごぼうが芽を出し太くなった。
これを見つけた住民が、2年かけて栽培する「ごぼう」を考え出したというのが堀川ごぼうの発祥と言われています。
堀川ごぼうの別名が「聚楽ごぼう」であったり、通常のごぼうの栽培方法と異なる点が多いなど、ユニークで京都に縁のあるエピソードが面白いですね。
やまのいも

「やまのいも」とは一般的には「自然薯(じねんじょ)」という名前で有名な野菜ですね。
「つくねいも」という別名もあります。
水はけがよく、適度な湿り気があれば道端や雑木林、荒れ地などでも自生します。
古くから本州、四国。九州、沖縄と広く分布し、各地で栽培もされてきました。
中でも京都府北部の宮津市栗田地域で栽培されるものは、肉質も締まり水分が少なく粘りが大変に強いといわれ、高級贈答品として高い人気を誇ります。
「やまのいも」の魅力は何といっても栄養価の高さと薬効の高さでしょう。
皮を剥いて「すり鉢」で丁寧に擦ったものを鰹だしで薄めると、きめ細やかで上品な「とろろ」の出来上がりです。
この「とろろ」は様々な料理に用いられ、非常に重宝しますね。
根っこを乾燥させて薬用酒として利用することも多く、滋養強壮などに古くから珍重されてきた歴史があります。
聖護院かぶ

京都の冬を代表する漬物と言えば「千枚漬け」を思い出す人も多いでしょう。
この千枚漬けの材料として有名なのが「聖護院かぶ」です。
「聖護院かぶ」は日本最大級のかぶと言われ、直径15~20㎝、重さは2~5㎏にもなる大きさが特徴ですね。
その大きさから味は大味かと思いきや、きめ細かい肉質で軟らかく甘味があります。
そのため「かぶら蒸し」やサラダなどの生食をはじめ、煮物、スープなど幅広く料理の材料として使用されています。
発祥は享保年間(1716~1736年)に京都市左京区聖護院の農家・伊勢屋利八の手によるもの。
近江の国(滋賀県)大津市堅田から持ち帰った近江かぶの種子を栽培し、改良の結果生まれたのが現在の聖護院かぶ。
京都の冬の味覚に欠かせない野菜となっています。
聖護院だいこん

「聖護院だいこん」も同じく聖護院という名がつく大根ですが、こちらも大きく丸いのが特徴です。
元々は尾張国(愛知県)から奉納された長い大根だったのですが、聖護院辺りで栽培するにつれ丸くなったのだそうです。
聖護院かぶといい大根といい、聖護院辺りの気候風土が何か大きく丸くなる要素でも持っているのでしょうか。
聖護院だいこんの特徴は辛みが少なくやや甘味があること。
長時間炊いても煮崩れをせず、トロトロに仕上がるのがうれしい大根です。
京都の冬の風物詩「大根焚き」によく使用され、多くの人が毎年長い行列を作っています。
花菜

春を告げる野菜としてよく知られているのが「花菜」でしょう。
元々は冬の切り花として主に京都市伏見桃山付近で栽培されていた「寒咲なたね」を食用として収穫するようになったのが花菜です。
用いられるのは主に花のつぼみの部分です。
独特の食感と風味が人気を呼び、和え物、おひたし、天ぷらなど、幅広く料理に用いられ、我々に春の味覚を楽しませてくれる野菜です。
京都の春の漬物としてよく知られる「菜の花漬け」は古い歴史を持っていますね。
またその栄養価も非常に高く、βカロチンやカルシウムはブロッコリーの約3倍とも言われています。
京たけのこ

京都は「たけのこ」の産地として全国的に有名です。
京都市の西部・西山一帯は特にその生産地として知られています。
これには次の二つの説があるとされています。
- 宇治・万福寺の禅僧隠元が来日の際に孟宗竹を伝え、西山一帯に定着した。
- 中国の唐に渡った禅僧が持ち帰った母竹が、長岡京市の一帯に植えたものが広がった。
西山一帯も長岡京市一帯も、共にたけのこの名産地ですね。
「雨後のたけのこ」という言葉があるくらい「たけのこ」は繁殖力が抜群です。
ですが管理されていない竹林のたけのこはブランド産品には程遠いと言わざるを得ません。
えぐみが無く、軟らかく甘味のある「京たけのこ」は、日本一の品質を持つブランド産品として珍重されています。
これは栽培農家の方々の徹底した山林管理と研究の賜物だと言えるでしょう。
丹波くり

栗の名産地は全国に多くありますが、日本を代表する栗といえば文句なく「丹波くり」ということになるでしょう。
丹波くりは日本最古の地域ブランドといわれ、おそらくは平安時代から存在していると言われます。
丹波地方というと、現在の京都府中部、兵庫県の東辺の一部、大阪府北辺の一部に渡る広い地域です。
「丹波くり」とは品種ではなく、丹波地方で収穫された栗の総称となります。
一粒約45gという大粒で、強いツヤを持ち、表皮は薄く渋みの離れが良いとされる高品質な和栗です。
この品質を生み出すのは、昼夜の気温差の大きい丹波地方の気候風土と言われています。
加えて生産者の高い研究心と熱心な栽培技術の改良が生み出した京ブランド産品の逸品が「丹波くり」ということですね。
京都府産 丹波大納言小豆

古くから高品質の小豆の産地として知られているのが口丹地域(京都府亀岡市から船井郡周辺)です。
この辺りの気候風土が小豆の栽培に適しているのでしょう。
ここで栽培されるのが「京都大納言小豆」。
大粒で色艶が良く、独特の香りを持つのが特徴で、京都の和菓子などには欠かせない小豆です。
ところでなぜ小豆を「大納言」と呼ぶのでしょうか。
武士は腹を切ることがありますが、公家である大納言は腹は切りません。
ここから煮ても皮が切れない小豆のことを「大納言」と呼んできたとか。
ともあれ「京都府産 丹波大納言小豆」は現在も日本一の高品質小豆として君臨しています。
京都府産黒大豆 新丹波黒

「新丹波黒」は京都府の丹波地方を中心に栽培される最高品質の黒大豆です。
京都府の丹波とは主に京丹波町、南丹市日吉町、京丹後市久美浜町を指しています。
この辺りの気候風土の特徴は以下のとおり
- 夏の寒暖差が大きい
- 秋に霧が濃く出る
- きれいな山水と粘り気の強い土壌
このような環境が新丹波黒栽培に非常に適しているようです。
江戸時代から栽培されてきた「丹波黒」からさらに選抜された優良品種で開発され、その希少性から「黒いダイヤ」の異名を持っています。
大粒でしわが無く、煮炊きしても形が崩れないのが主な特徴でしょう。
ホクホクの食感と深いコクと甘味。
枝豆としての美味しさは絶品ですが、お正月の黒豆としての美しさも誰もが知るところです。
金時にんじん

「金時にんじん」の別名は「京にんじん」ですが、全国で栽培が盛んで、意外にも京の伝統野菜には含まれていません。
しかし、色味の美しさから京料理に欠かせない野菜として、ブランド産品として認定されています。
実際、京都で栽培されたものは同じ金時にんじんでも、軟らかく芯まで赤いという特徴があります。
この金時にんじんは、日本に現存する唯一のアジア系のにんじんなのだそうです。
栽培に関して、芽が出にくいため種まきの際に厚めに種をまき、葉っぱを間引いていくのが特徴となっています。
この間引き菜である「にんじん葉」は味も良く、様々な料理に使えるということで人気の野菜となっています。
くわい

小さな丸い実に角のような芽が伸び、鮮やかな青い色をしているのが特徴の「くわい」。
このまっすぐに伸びた芽が「芽出たい(めでたい)」に通じるところから、縁起物として京都のお節料理に欠かせない野菜となっています。
産地は京都市南区にある東寺周辺でした。
この辺りは古くは低湿地帯だったため、くわいの栽培に適していたのだそうです。
食材としての特徴は、独特のほろ苦さと適度な甘味、加熱するとホクホク食感になる。
里芋に煮た小ぶりの野菜なので、煮物、焼き物、揚げ物と様々な調理に使えるのですが、アク抜きの必要があります。
京丹波大黒本しめじ

本しめじは「香り松茸、味しめじ」と称され、きのこの代表格として知られています。
ちなみに、よくスーパーなどで見かける「ぶなしめじ」のしめじとは別のモノです。
この「京丹波大黒本しめじ」は、京都府京丹波町で栽培される京のブランド産品です。
名前の由来は、ふっくらと大きいその姿かたちが大黒様を思わせるところから来ているのだとか。
弾力のある歯ごたえと滋味あふれる豊かな味わいで、焼いても煮ても揚げても良しの万能選手。
一年通して栽培されているので手に入りやすく、様々な料理の具材として活用されています。
まとめ
京都のブランド産品として全国に知られる「京野菜」。
「京野菜」に具体的な定義はなく、京都府内で栽培された野菜全般の呼び名です。
しかし、京の伝統野菜と呼ばれるものにはいくつかの条件がありました。
近年品種改良などで食べやすくなった野菜ですが、京野菜は古くからの特性を活かしたままの栽培がされ。強い地域性がある野菜と言えるでしょう。
京野菜には多くの品種がありますが、京都市内外の様々な場所で旬のモノに出会うことができます。
「京野菜」とは、野菜本来の特性を持ち続ける伝統京野菜。
京都の伝統的な料理には欠かせない食材の一つですね。
最後までお読みいただき有難うございます。