「おばんざい」とは何?京都に受け継がれる伝統的食文化の意味を探る

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京都の料理屋さんを見ていると目につくのが「おばんざい」という言葉。

和食のメニューのひとつなのか。

料理のカテゴリーのひとつなのか。

「おばんざい」という料理がどういうものなのか、今一つハッキリしないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは「おばんざい」とはどういう意味なのか。

どんな料理を指すのか。

その特徴は何なのか。

奥の深い「おばんざい」の世界をざっくりと見ていきたいと思います。

目次

「おばんざい」とは、京都の一般的な家庭で作られているお惣菜のことだと言われています。

各家庭で代々受け継がれてきた日常の家庭料理ということですね。

漢字で表される時には「お番菜」という字がよく当てられます。

この「番」という字には、粗末なモノ、日常的なモノという意味が含まれます。

「番茶」や「番傘」などを考えるとイメージしやすいですね。

そして「菜」という字には「おかず」を表す意味があり、合わせると「ありふれた家庭料理」ということになりますね。

その他の表記には「お晩菜」や「お万菜」などがありますが、いずれも意味としては京都で古くから親しまれてきた一般的な家庭料理という事になります。

「おばんざい」とはどんな料理?

京都の家庭料理「あばんざい」とは具体的にはどのような料理を指すのでしょうか。

各家庭に伝わってきた料理ということで、これという定義は無さそうです。

旬の京野菜や食材を使っての煮炊き、和え物、揚げ物などがそれに当たると言えるでしょう。

おばんざい料理屋で見かけるメニューに「煮たん」「炊いたん」「和えたん」「揚げたんというものがあります。

これらは「煮もの、炊きもの、和えもの、揚げもの」を京都の言葉で表したものです。

かつては新鮮な魚介や食材を手に入れることが難しかった京都。

身近な京野菜や乾物などを無駄なく使いきることが重要なテーマでした。

素材を引き立たせるために、味付けはシンプルなものだと言えるでしょう。

しかし、シンプルな中にも出汁などにこだわった洗練された技術が光ります。

「おばんざい」にはどんな特徴があるの?

おばんざいの特徴とはどのようなものでしょうか。

おばんざいの大きな特徴として先述した出汁が挙げられるでしょう。

おばんざいの味付けには調味料などの余計なものを使いません。

昆布や鰹などの出汁を使う事で食材が本来持っている味を引き出しています。

旬の食材の美味しさを際立たせるには出汁を使った控え目な味付けが大切なのです。

もう一つ大きな特徴と言えば、四季を通して旬の野菜を取り入れているということでしょう。

古くから京都で栽培されてきた「京野菜」と呼ばれるブランド野菜がその代表格となっています。

旬の美味しい野菜を出汁を使った控え目な味付けで楽しむ。

そして「煮る・炊く・和える」といった調理方法で、様々な野菜をたくさん摂取することができます。

料理から季節を感じ、素材の持ち味を生かす飽きの来ない家庭料理というのがおばんざいの特徴と言えるでしょう。

おばんざいによく使われる食材とは

各家庭で様々な形をとるおばんざいという料理。

そこでよく使われる食材にはどのようなものがあるのでしょうか。

いくつか例を挙げてみましょう。

京野菜の数々

なんといっても外せないのが旬の野菜でしょう。

京都には京の伝統野菜というブランド産品があります。

京都で昔から栽培されてきた伝統的な野菜の数々で、色々な場面で見たり聞いたりしたことのある名前が多いですね。

九条ねぎ・えびいも・聖護院大根・壬生菜・堀川ごぼう・鹿ケ谷かぼちゃ等々。

京都の地域名が冠されたものが多いのが特徴ですね。

旬の魚介類と豊富な肉類

海から遠く離れた京都中心部ですが、季節ごとに様々な魚介類がおばんざいにも用いられてきました。

桜鯛・鰆・鮎・鱧・ニシン・サンマ・イカ・タコ・牡蠣など

周辺地域から入ってくる魚介と、地元京野菜との組み合わせで様々なおばんざい料理が生まれてきました。

加えて新鮮な魚介類の入手が困難なため、保存のきく乾物を使った料理が発展したという背景もあります。

もちろん魚介類だけでなく、地元の食材として牛・豚・鶏など様々な肉も用いられます。

もともと家庭料理のおばんざいですから、肉や魚も柔軟に様々な調理法がありました。

煮込みや和え物などによく用いられ、和食だけにとどまらず洋食風おばんざいとしても幅広く使われてきた食材です。

色とりどりの薬味

おばんざいに用いられる食材には、料理を引き立てる薬味としての役割を持つものも多いですね。

京都のおばんざいで使用される代表的な薬味には以下のようなものがあります。

  • ねぎ
  • 木の芽
  • 大葉
  • 生姜
  • みょうが
  • 七味唐がらし
  • 山椒粉

など様々なものがありますね。

薬味にはおばんざいの味を引き立てるという役割の他にも、料理に季節感や彩りを添えるという用途があります。

まとめ

おばんざいとは京都の各家庭で古くから作られてきた一般的な家庭料理です。

それぞれの家庭に伝わるお惣菜ですから、おばんざいに厳密な定義などはありません。

旬の野菜や乾物、魚介・肉などを用いながら、出汁を使った控え目な味付けが特徴です。

食材の本来持つ味を引き立たすため、調味料などはほとんど使いません。

料理から季節を感じ、素材の持ち味を生かす飽きの来ない家庭のお惣菜。

昔は当たり前のようにあったこのような料理ですが、現代ではなかなか貴重なものとなっているような気がします。

京都のおばんざい料理。

毎日の食卓にぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

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